採用力の強化や従業員エンゲージメント向上を目的に、ユニークな就業規則や福利厚生を導入する企業が増えています。
例えば、
• 失恋休暇
• 推し活休暇
• 二日酔い休暇
• サイコロ給(サイコロの出目で手当額が変動)
• インフルエンサー手当
• 非喫煙手当
• ペットの扶養制度
• 社内仮想通貨制度
など、一見すると「本当に就業規則に書くの?」と思うような制度も珍しくありません。
こうした制度は企業の個性を打ち出し、採用活動では大きなPRになる一方で、導入方法を誤ると従業員間の不公平感を生む原因にもなります。
本記事では、ユニークな就業規則を導入する際の注意点と、法令に沿った制度設計のポイントを解説します。
ユニークな就業規則を導入するメリット
採用活動で会社の魅力を伝えられる
給与や休日だけでは差別化が難しい時代です。
「価値観を尊重する会社」というメッセージは、応募者に企業の魅力を伝える有効な手段になります。
従業員エンゲージメントの向上
制度そのものよりも、「会社が従業員を理解しようとしている」という姿勢が、就労満足度向上や定着率向上につながります。
一方で・・ユニークな就業規則の裏で起きやすい不公平感
適用基準が曖昧
例えば失恋休暇。
「交際していた相手だけ?」
「片思いでも対象?」
「自己申告だけで認める?」
基準が曖昧なままでは、制度を利用する社員と利用できない社員との間で不公平感が生じます。
就業規則に制度を定める場合は、
• 対象者
• 申請方法
などについて具体的に定めることが重要です。
給与制度は労働基準法にも注意
「サイコロ給」のようなユニークな制度も魅力的に映ります。
このような出目によって給与額が減少する仕組みは、基本給や固定給は安定的に保障したうえで、プラスアルファの手当として設計し、労働条件の不利益変更とならぬように配慮が必要です。
制度の目的が伝わるか
例えば「非喫煙手当」。
喫煙者から「なぜ自分は対象外?」という不満が出ることがあります。
そのため、
• 健康経営の推進
• 生産性向上
など、制度を設ける目的を明確にし、会社の理念と結び付けて説明することが大切です。
ユニークな就業規則を導入する際のポイント
制度を成功させるためには、次の3点が欠かせません。
① 制度を導入する目的を明確にし、自社の理念や文化に合っているかを確認する
② 就業規則・賃金規程とともに、申請書式・申請方法まで整備する
③ 従業員へ十分な説明を行い、公平に運用する
就業規則は「会社らしさ」を伝えるルールブック
ユニークな就業規則は、話題づくりのために作るものではありません。
「どんな会社を目指すのか」
「従業員にどんな働き方をしてほしいのか」
という企業理念を制度として形にしたものです。
実は私自身の過去の経験で、企業人事部として就業規則を作成・公開した折、とある社員から「『してはならないこと』ばかりが羅列されていて、途中で読む気がしなくなってしまった」と言われてしまった苦い教訓がございます。 会社を守るためのルールを沢山盛り込んだ結果、社員のモチベーションを下げていた――この言葉は、私にとって大きな反省となりました。
就業規則は、人と組織の文化と志を刻む、労務の「道標(みちしるべ)」です。
法令適合はもちろんのこと、会社の理念と制度が一致することで説得力が生まれ、従業員から信頼される就業規則になります。
ロングレーン社労士事務所では、労基法などの法令を踏まえながら、「会社らしさ」が伝わる就業規則の作成・見直しをサポートしています。
既存の就業規則を見直したい、自社オリジナルの制度を導入したい、とお考えでしたら、お気軽にご相談ください。