「今年もストレスチェック、適当に回収して終わりでしょ?」 ——もし社内でそんな空気が流れているならば、結構危険です。
ストレスチェックは、本来“人と組織の空気”を可視化する制度です。にもかかわらず、実際には「回収と報告事務」だけで終わってしまうケースも少なくありません。でも、従業員様はきちんと見ています。「どうせ答えても何も変わらない会社か」「きちんと改善する気がある会社か」を。
高ストレス者を放置すれば休職や離職につながり、集団分析を放置すれば“人が辞める原因”も放置されます。ストレスチェックは単なる義務ではなく、未来への投資となる「人と組織の健康診断」なのです。では、結果を活かして職場を変えている企業は、一体何をしているのでしょうか。
アプローチ1:データから「見えないプレッシャー」をあぶり出す
残業時間がそれほど多くない部署であっても、高ストレス判定が頻発することがあります。分析してみると「心理的負担(プレッシャー)」が高く、「周囲のサポート」が著しく低い。実は、一部の従業員様に難易度の高い案件が集中し、周囲も助けられず孤立していた――というケースは珍しくありません。ここに気づければ、ピンポイントな人員投入や業務分散など、効果的な手を打つことができます。
アプローチ2:「相談のハードル」を下げる
高ストレス判定であるにもかかわらず従業員様が「医師面談」を希望しない場合、その背景の一つには、「決まった時間に面談に出向く」という心理的・物理的なハードルがあります。例えば、医師とのオンライン面談が可能となる場合、「移動不要・場所を選ばない・柔軟な調整」という手軽さによって、受診率が向上する効果があるようです。
アプローチ3:結果を「犯人探し」ではなく「横展開」に使う
集団分析の結果を「犯人探し」に使うのは悪手です。管理職が責められれば、翌年からその職場に「『問題なし』と回答するように」と圧力がかかり、データは正確性を伴わないものとなります。上手くいっているケースでは、結果が良くなかった部署を責めることなく、結果が良かった「ホワイト職場」のマネージャーが実践している「挨拶、声かけ、コミュニケーションの工夫」「残業削減の取り組み」等を社内で横展開します。すると、やがて現場に「自分たちの手で職場を変えられる」という当事者意識が芽生えていきます。
動き出した会社から、数年後の未来が変わる
形だけやる会社と、結果を使って職場を変える会社。数年後には、生産性や定着率に明確な差となって現れてきます。ストレスチェックの結果は、組織の健康状態を表す「天気予報」のようなものです。「雨が降りそうだから、みんなで傘を準備しよう」——そんなスタンスを会社が見せるだけで、従業員様のエンゲージメントは変わります。
この大切な制度を、意味ある対話のきっかけにしていきましょう。私たち社労士も経営者様や人事総務担当者様に寄り添い、有効なアドバイスを提供していきたいと考えております。