プライベートLINEで業務連絡は「時間外労働」「ハラスメント」を生むことも?~「つながらない権利」時代のSNS管理

「みんなLINEを使っているし、わざわざ業務用のツールを入れる必要もない」
そんな理由から、従業員のプライベートLINEアカウントを業務連絡に利用している職場は少なくありません。
確かにLINEは便利です。無料で使え、多くの人が利用しているため、すぐに連絡を取ることができます。
しかし、「連絡がつくこと」と「会社として適切に管理できること」は別の話です。
プライベートLINEアカウントを仕事に使い続けると、仕事とプライベートの境界が曖昧になり、時間外の連絡やハラスメント、情報管理など、さまざまな労務上のリスクにつながる可能性があります。

1.「手軽なLINE」が招く労務リスク

① プライベートに仕事が入り込む

夜中や休日に、「ちょっと確認です」とLINEが届く。
「返信しなければいけないのか」「明日の勤務時間でいいのか」。
受け取る側が判断に迷うことになります。
一つひとつは小さなやり取りでも、積み重なれば、夜間や休日まで仕事が続いているような状態になりかねません。
近年は、「つながらない権利」への関心も高まっています。
会社が従業員の連絡先を知っているからといって、いつでも連絡してよいわけではありません。
特に夜間・休日の連絡は、明確に返信を求めていなくても、受け取った側に「返信しなければ」という心理的なプレッシャーを与えることがあります。

② LINEだからこそ、言葉が軽くなりやすい

社内メールであれば、一度文章を考えてから送る内容でも、LINEなら勢いで送ってしまうことがあります。
「あの仕事、終わった?」
「今日の会議での発言、あれはどうかと思うよ」
「今度、飲みに行こうよ!」
送る側にとっては軽い指示やコミュニケーションのつもりでも、受け取る側が同じように感じるとは限りません。
特に上司から部下への連絡であれば、内容や状況によってはハラスメントの問題に発展する可能性もあります。
職場では懸命にハラスメント防止に取り組んでいるのに、従業員個人のスマートフォンの中に「第二の職場」ができ、そこでハラスメントが発生する・・
これは望ましい状況ではありません。

2.業務連絡を「個人LINE頼み」にしない

①業務連絡に使用するツールを会社として決める

会社が管理できる業務用ツールを指定し、プライベートLINEを業務連絡の基本ツールにしないことが望ましいものです。
メール、Google Chat、Microsoft Teams Chat、Chatworkなど、会社として管理できるツールを用意・指定し、あわせて、
・夜間・休日の連絡は原則として行わない
・返信を求めるのは原則として勤務時間内とする
・緊急時の連絡方法は別途定める
といったルールも定めておくと良いものです。
会社として適切な連絡手段と時間帯を決め、それを実際の運用に落とし込むことが大切です。

②社内規程に定めてしまうことも一案

例えば、社内規程に次のようなルールを記載することも一案です。
「従業員同士、または取引関係者との間で、プライベートSNSアカウントの交換を原則として行わないこと。双方の同意によりSNSアカウントを交換した場合であっても、SNS上で相手方のプライベートに不用意に干渉する行為、相手方の心情を害する行為、または業務上の指示行為を行ってはならない。」
・・果たしてここまで定める必要があるか?と思われてしまいますが、例えば、上司から部下に「LINE交換しよう」と言われた場合、部下としては断りづらいことがあります。
取引先から「LINEでやり取りしませんか」と言われた場合も、関係性を考えると断りにくいケースがあります。
このようなとき、会社としてルールを定めておけば、「申し訳ありませんが、社内規程で個人SNSの交換は原則として行わないことになっております」と、従業員個人の判断ではなく、会社のルールとして丁重に断ることができます。

会社が仕事とプライベートの境界線を決めないまま、「便利だから」という理由で、従業員個人のSNSに仕事を乗せてしまうことは、決して望ましい運用とはいえません。
社内規程についても、SNSとの関わり方を含めて、一度見直してみてはいかがでしょうか。

私たちは、こうした一見細かなようで、実際には日々の労務管理に影響するSNS利用のルールづくりにつきましてもサポートしています。
「今の運用で大丈夫なのか」「就業規則にどこまで定めるとよいか」など、お気軽にご相談ください。

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